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香りのこと

 

「瞑想の中で、覚醒の手前……意識の向こうに到達するときは、ふっといい香りが、向こう岸からやってくる。最後はその香りをたどって、何も見えない暗闇の中で、僕たちは神と出逢う」

わたしの瞑想の先生がそう教えてくださった時、とても静かなうれしさと幸せに包まれました。

「これが、聖書に書かれている通りの世界なんだ……」

そう、幸せになりました。

 

香りと祈り

古今東西、教会やお寺ではいつも芳しい香りとともに、祈りが捧げられています。

聖書にも、出エジプト記には聖所を清めるための香りの没薬の記載があり、 東方の三人の博士がイエス・キリストの生まれた夜に捧げた三つの贈り物の中にも、香る没薬がありました。

当時、没薬は医師が薬として使用していたために、〝救世主の象徴〟とされていました。

イエスの十字架の埋葬の場面でも、遺体とともに没薬を含む香料が埋葬されたことの預言として、イエスの誕生時に、その香りが送られたのです。

仏教の寺院ではお香を焚き、特に密教では「塗香」と呼ばれる体に塗る香りの粉を手に塗って、祈りを捧げます。

このように、神への祈りを捧げる場所には、つねに香りという目には見えないけれども、確かに存在する存在に包まれながら、わたしたちは覚醒へと導かれる……というわけです。

わたしの好きな聖書の一つに、このような聖句があります。

 

「あなたがたは使徒と預言者という土台の上に建てられており、キリスト・イエスご自身がその礎石(そせき)です。
 この方にあって、組み合わされた建物の全体が成長し、主にある聖なる宮となるのであり、
 このキリストにあって、あなたがたもともに建てられ、御霊(みたま)によって神の御住い(みすまい)となるのです。」 

聖書 エペソ人への手紙2:20-22

 

つまり、祈りを捧げるわたしたちの心そのものが、神の御霊が住んでいる神殿であるというのです。

瞑想の先生が教えてくださったように、覚醒して、神の神殿であるわたしのハートの奥の扉を開けるときには、

「そこには香りの導きが迎えにくるんだ……」

そんな素晴らしい真理、秘密を聴けたことが、わたしはほんとうにうれしかったのです。

 

サンタ・マリア・ノヴェッラの濡れたポプリ

わたしの香水好きはそういった、祈る時の「塗香」のような存在です。

自分が少しでも神殿であることに、近寄っていくことをしたい…….そんな想いがある気がします。

「塗香」自体も〝邪気から守る〟魔除けとしても使われていて、香りそのものが、見えない結界を張ってくれている柔らかで強力な力も感じます。

香りは世界にさまざまありますし、どの香りを選ぶのかは、まさに、わたしという神殿のハートの奥との対話です。

わたしはクラスやイベント会場ではよく、フィレンツェにある世界最古の薬局『サンタ・マリア・ノヴェッラ』のポプリを使っています。

クラスでは祈る時間が多いので、ほんとうはフランスの『ディプティック』の〝ミルラ〟という名の、まさにイエスが博士に送られ埋葬時のミイラ用の没薬として使われた香りが入っているキャンドルを使いたいのです。

が、火気厳禁の会場が多いので『サンタ・マリア・ノヴェッラ』のオイルに濡れたままの生のポプリを使用しています。

 

ディプティックのL’EAU

あとはそう……普段使いの香水は、雰囲気づくり、でしょうか。

香りもわたしですから、こういう雰囲気の人だと感じてもらいたいものを、選んでいます。

その中でも、好きな香りが、二つあります。

先ほども触れました『ディプティック』の、最初の店舗オープニングで調香された香り〝L’EAU〟(ロー)と、『テュエリー・ミュグレー』のブルーの星の形をしたガラスに入った〝ANGEL〟。

『ディプティック』は今、日本でもとても人気なので、百貨店や空港でも気軽に買えるようになりましたが、確か〝L’EAU〟(ロー)だけは、表参道の直営店でしか日本では買えなかったと思います。

『テュエリー・ミュグレー』の〝ANGEL〟も、実は日本ではなかなか取り扱っている店舗が少ないので、通販か、もしくはヨーロッパの空港で一度にたくさん買ってくることが多いです。
(パリやロンドンの空港では『テュエリー・ミュグレー』コーナーがあるほど、色々な種類が取り揃えてられています)

初めてこの香りをわたしに教えてくれたのは……なんと男性で、ジャズ・ミュージシャンの菊地成孔さんです。

菊池さんのライブに娘の菜花さんと訪れた時、CDにサインをしながら、

「この香りが好きなので」

と、〝ANGEL〟をサインの横につけてくれたことがきっかけでした。
(菊地成孔さんは音楽だけでなく、エッセイがもの凄くおもしろい方なのです)

「奈津子さんとすれ違った時、いい匂いがしました」

と、クラスやイベントでよく言われることが多いのは、この〝ANGEL〟の香りです。

 

テュエリー・ミュグレーのANGEL

「星やブルーダイアモンドを思わせるボトルに、パチュリやプラリネ、カラメルの甘く美味しそうな香りをつめました」

1992年、彗星の如く現れた〝ANGEL〟。日本人の方が好む、軽くて爽やかな香りとは対極なので、日本ではあまり取引きはされていない商品です。

けれども、空港でもコーナーがあるほどに、ヨーロッパでの人気は高く、香水の女王として君臨し続ける〝CHANEL No.5〟を、一位の座から降ろしたことがある唯一の香水なのだそう。

トップノートは、ベルガモット、ストロベリー、カシス。
ミドルノートは、ハニー、レッドベリー、ジャスミン、プラリネ。
ラストノートは、バニラ、カラメル、パチョリ、ムスク、チョコレート、トンカビーン。

こんなにも美味しい香りが何層にも詰め込まれた〝ANGEL〟は、お菓子が好きなわたしには、普段使いの香りの中では、一番わたしらしさを表現できる香りです。

 

目には見えないけれども、確かに存在している

聖なるお祈りの時間の時の香りから、普段使いのわたしらしさまで。

香りで自分を表現することは、わたしにとって、

「目には見えないけれども、確かに存在している」

スピリチュアリティのイズムそのもの。

みなさんも、

「ご自分らしさを、見えないもので表現する」

そんなおしゃれの仕方を、もう一つ。
試してみるのは、いかがでしょうか。

 

N

 

 

写真は、12時の場所から時計回りに、『ディプティック』の〝ミルラ〟のキャンドル。『テュエリー・ミュグレー』の〝ANGEL〟のデオドラントスプレー。〝ANGEL〟のオードパルファム100ml。同じく星型の25ml。香水をつけた時に香りを邪魔しないため、混ざってもいい香りになるバニラのバームをヘアバームがわりに。最後は『ディプティック』の〝L’EAU〟(ロー)のオードパルファム75ml。

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