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Petit déjeuner……

フランス語で朝食のことを〝Petit dejeuner……〟と言います。

わたしの好きな絵本、レイモンド・ブリッグズ著の「サンタのたのしいなつやすみ」では、フランスに旅行に行ったサンタが、その朝ごはんの少なさに怒ってしまう、という可愛らしいシーンがあります。

フランスの一般的な朝ごはんは、クロワッサン一つとカフェオレ。
そんなメニューが定番です。

 

「大切にしている」「大切にされている」

わたしの朝食もフランス語そのものの、いつもほとんどおなじの、小さな朝ごはんが多いです。

カフェオレと、トーストと、ヨーグルト。
冷蔵庫にあったら、少しの果物。

トーストには、フランスのエシレバターをつけて、南フランスの黒いマリアさま(ジーザスとマグダラのマリアのお子さんだったと言われている、サラ)がまつられている土地、カマルグのお塩をぱらぱらとふります。

自分のために、一杯のコーヒーを入れる。
自分のために、真四角のトーストに好きなだけバターを塗る。

そういう毎日のひとつひとつのことを、わたしはとてもゆっくり、します。
丁寧にのんびり、します。

 

なので、お仕事の予定や締め切りがある忙しい朝には、たったこれだけの朝食を自分に作って食べることもしません。
近くのカフェに行って、丁寧に作っていただきます。

「自分に優しくゆっくりできない時は、それを食べない」

と、おもっています。

慌てた、ばさばさとした気持ちで作ったものを、朝、体に入れるのが……実はとても苦手です。

わたしはわたしの投影のテーマとして、

「大切にしている」
「大切にされている」

という出来事に反応する自分がいるので、とても気をつけているのです。
朝食で、そのレッスンをしているという……可笑しな毎朝です。

 

美味しいバターを塗って

 

わたしは学生の頃、とにかくよくマニアックな映画を一日中見ていました。

中でもお気に入りで、もう何十回観たのか記憶にないほどの作品が、フランスの映画監督ルイ・マル監督の初のアメリカ進出映画『Pretty Baby』。

無名子役だったブルッ・クシールズを一躍スターにした、1910年代のアメリカ・ニューオリンズにほんとうにあった売春地区で、のびのび育っていく少女を描いた作品です。

主演のブルック演じるヴァイオレットという少女が、早々に求婚されて結婚生活が始まると、反対にとても孤独な朝を迎えます。

夫が仕事に出かけて用意してくれた朝食を独り、自分のコップのミルクを猫と一緒に飲みながら、パンにたくさんのバターを塗って食べるシーンがあるのですが、このシーンがなぜかとても好きでした。

それ以来、美味しいバターを塗ってパンを食べる習慣ができたので、エシレバターを使うようになりました。(ヨーグルト味のようなバターで美味しいのです!)

この映画には、「女性のルーズさ、気だるさの美しさ」も教わりましたね……「女性の生理感覚、肌感覚のまま、ゆっくり生きる」というものを。

女らしさの「たゆたう感じ」とか……追わない感じ。受け容れていく感じ。
おおらかな女性の明るい強さを、たくさん。
(ヒッチコック映画などは、女性に食べるシーンをほとんどさせないですからね。男性監督の美意識や趣向というのは、とても興味深いです)

先ほども少し触れましたが……お塩の美味しさを教えてくれたのは、南フランスです。

南仏のレストランでカマルグのお塩を初めていただいた時、
「甘くて美味しい……!」
と、おもいました。

それからお塩は、いつもカマルグのものを使っています。

カマルグのお塩にはランクがあって、さらに純度の綺麗な、少し高めのお土産用のカマルグのお塩も最近は買っています。

「バターやお塩を美味しく食べたいから、朝食はパンにしている」
わたしの場合、食べる意味が反対のトーストです。

 

〝フィクション〟そのものでいる、朝のレッスン

こんなおなじ絵本や映画のワンシーンや南フランスの思い出を、繰り返し。
いつも考えたり思い出したりしながら、静かに朝食をいただきます。

相手の前ではいつだって、その方の鏡として〝フィクション〟でいたいから。

わたしは、今日、出逢う相手の方と重なって……
〝わたし(自我)が消えていくこと〟に、心からの幸せとよろこびがあるので……

 

絵本や映画、思い出という〝フィクション〟そのものでいるレッスンは、朝から欠かせないものなのです。

わたしのPetit dejeunerは、そういう大切な時間です。

 

 

N

 

 

1枚目の写真は、いつものわたしの朝食。この日は桃を少し戴きました。バターを塗るのも、南仏の幸せのシンボルの蝉がついたナイフで。この写真を撮っていたら、窓に蝉が止まりました。

 

2枚目の写真は、朝食だったり原稿を書いている間だったり、一日に一回飲んでいるコンブチャクレンズ。飲む酵素です。ご近所に大泉工場というコンブチャクレンズの工房があって、毎週ポット三本分を買いに行くようにしています。わたしのお家に来る方は、みんなこれが好き。とても美味しいです。

 

3枚目の写真は、キッチンで撮りました。作家のお友だちが手作りしてプレゼントしてくださったお皿に、時計の3時の場所からカマルグのお塩。おなじくカマルグの純度とお値段の高いお塩。エシレバター。一番上にあるのは、お塩が好きなわたしに祈られた岩戸のお塩を、お友だちがくださいました。そして、左側に飾ってある木製のドン・キホーテは、他界した父が大切にしていた形見です。

 

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