男性たちの暮らしの香り
ドリスが男性パートナーと暮らすお城の、その部屋という部屋に飾るため、二人で庭からハサミで切ってくる遅咲きの木蓮や、美しい色とりどりの花や木々たち。
その花を運ぶための、ゆるく編まれた大きな籠。
二人だけのディナーのために灯された、ダイニングテーブルのキャンドル。
二人でキッチンに立ち、ル・クルーゼのパンで焼くステーキの音に乗って届く、映画からは匂わないはずの男性たちの暮らしの香り。
自分たちの手料理で、ただ空間が広がっている芝生の庭を眺めながらランチをする、二人の背中……。
この作品は、トップデザイナーの登竜門アントワープ王立芸術アカデミー卒、芸術文化勲章なども多数受賞している世界的ファッショナデザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテンのファッションショーとその創作過程、30年来の男性パートナー、パトリックと暮らす、美しい庭のお城の自宅が撮影されたドキュメンタリー映画です。
テーマに沿ったオリジナルのファブリック製作。そこからデザインと作成とスタイリング、ショーのためのモデルや会場選び……と、パートナーとスタッフと愛犬と共に創られていく、彼本人をそのまま名乗った老舗ブランド、「ドリス・ヴァン・ノッテン」。
映画の中で追った、マリリン・モンローをメンズのテーマにしたショーのクオリティは特に圧巻で、その演劇的な構成に感動すら湧きあがります。
「ドリスの心の世界はこんな風に、ファブリックと男(メンズ)の上に亡くなったセックスシンボルの女優が重なって、キスマークの紙吹雪が降っているんだなぁ」
と、gayである彼が傍観やヘイトでなく、女性のセクシャリティという相対するものを、自身のファブリックを重ねて〝纏う〟凄みというか……彼の愛の表現に、生理的に圧倒されてしまいます。
あなたは、わたし
わたしはスピリチュアルカウンセラーというお仕事がら、
「ソウルメイトやツインソウル、ツインレイの定義を、どうお考えですか?」
と聞かれることが多いのですが、わたしが言わせていただいてもいいのなら、
「ツインレイとは、以心伝心で当たり前に会話ができる二人のこと」
そう単純に、そういう間柄をツインソウルと呼びたいです。
わたしは「パートナーシップというのは、感じあうこと」だとおもっているので、
その感じあう究極の形態は、以心伝心のことではないかな……という、いたってシンプルな見方です。
インタビュアーの質問に、パトリックが答えるシーンがあります。
「彼(ドリス)が、次に何を言うのかが、わかるんだ」
同時に感じあえる〝タイミング〟だけが奇跡体験のすべてですし、愛はひとつであることの証が、以心伝心だと思うからです。
あなたは、わたし。
パートナーとはわたしの生きる理由であり、わたしの情熱
わたしは最近、パートナーシップについてよく考えることが多くなりました。
動画のお仕事でそのリクエストが多いこともあって、
「その真の意味はなんだろう?」
と、あらためてゆっくり見つめてみることが増えました。
『奇跡のコース』に書かれている「原因と結果は同時である」という真実に、合理的にパートナーシップを当てはめるのなら、それは「自分が自分とのパートナーシップを幸せに築けていれば、それが現実の世界のパートナーシップとイコールになる」わけです。
自分が自分と一致しているなら、現実でも相手と一致する。
つまり、自分の中の自分の本音と一致していると、相手の本音と自動的に一致できるというわけです。
わたしがわたしの本音と一致していること、わたしにわたしの夢を叶えさせてあげることが、わたしの生きる理由です。わたしの生きる情熱です。
ならば、パートナーとはわたしの生きる理由であり、わたしの情熱なのです。
ドリスも、「君のいうことがわかる」というパトリックに対し、こう答えます。
「僕は一人で仕事(デザイン)をすることなんてできない。
彼がいなければ、創作はできない」
ドリスが服を創り続けたい自分との本音の一致が、同時にパトリックとの一致になっているわけです。
このあまりに単純で、一直線な在り方。この生き方。
パートナーとはわたしの生きる理由であり、わたしの情熱。
これがわたしの考える、ツインレイの定義です。
情熱と以心伝心
わたしがこの映画で一番好きなシーンは、マリリン・モンローのファブリックのショーのシーンと、自分たちの手料理で、芝生の庭を眺めながらランチをする、二人の背中のシーン。
微笑み、穏やかに感じあいながらお食事をいただき、ただ目の前の広大な庭の空間を見つめている二人。
なぜかはわからないのですが、その華やかなシーンと、相対する寡黙な背中のシーンの二つが最も好きなのです。
きっとわたしがパートナーと生きるための理由、華やかな情熱と寡黙な以心伝心の二つの愛の側面と、それがとても似ているからだと思います。
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お引越しした新しいマンションの近くに「かるかや」さんという、不思議で個性的なお花がいっぱいの素敵な素敵なお花屋さんがありました。(恵比寿ガーデンプレイスの中にメインショップがあります) そこでお花を買う時に、いつもドリスとパトリックの庭のお花をイメージして買っています。飾りすぎない、ひんやりとしたこのお店に入るだけで、フランスの裏道のお花屋さんにいるような気持ちになります。そのわたしの気持ちを大切に想ってくださる方が、いつも素敵な、ため息が出るようなお花を「かるかや」さんから届けてくださいます。本当にたくさんの幸せをどうもありがとう。
『かるかや』